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絶景三昧

ルート氷河へのトレッキングから戻ると、しばらくして迎えのバンが来ました。
行きと同様に満席のバンに揺られてマッカーシーの飛行場へ。

帰りも軽飛行機による遊覧フライト。
今度は安藤さんといっしょのフライトになったので、パイロットさんのガイドも的確に通訳してくださいます。
「今日は天気が良くてマッキンリーも見えたらしい」とか、「あれがランゲル山」とか。

朝のフライトは紅葉が際立っているように感じましたが、夕方のフライトでは黄葉が際立っているように感じます。同じコースを飛んでいるのに、行きのフライトとは大きく印象が異なります。

植生のグラデーション一直線のハイウェイウィロー湖のパノラマ

チットナからは再び自動車に乗ってコッパーセンターまで。
途中の景色がすごくきれいだったので、ハイウェイのとレイクで停車して写真撮影。

朝はガスがかかっていたし、急いでいたので気付かなかったけど、このあたりの景色は雄大で、すんごいキレイ。

二度の写真撮影で時間を要したこともあり、コッパーセンターに戻ってきたのは、予定より少し遅れて19時過ぎでした。

ルート氷河トレイル

銅鉱跡の施設群を少しやり過ごした河原(氷河の場合もそう言うのだろうか...)でランチタイム。
食事を終えたらすぐに帰るのかな~と思っていると、安藤さんの提案で「氷河の近くまでハイキングをしましょう」ということに。

「...ハイキングはエンジェルロックだけかと思っていたけど...」と思いつつ、「...迎えの飛行機の時間まで、ボーっとしてるのも勿体無いしね...」と自分を納得させてハイキングに参加。

ルート氷河とケニコット氷河の合流点まで。

が、片道1時間のトレイルは、そこそこハード。
最初は平坦な黄葉のトンネルをくぐっていく楽チンコースだったのですが、途中からクリークを渡るために細かいアップダウン(おまけに豪雨で増水してるし)を繰り返したり、氷河の渕まで標高差100メートル近く降ったり...。
(もちろん帰りは100メートル近く登る訳でして...)

安藤さんは「エンジェルロックへのウォーミングアップにはもってこい」って言ってたけど、これでウォーミングアップってエンジェルロックはどんだけ大変なんですか...。

世界遺産と観光開発

ここランゲル・セントエライアスに限らず、アラスカには多くの国立公園、州立公園があり、日本の世界遺産に劣らない魅力的な自然がたくさんあります。

にも関わらず、アラスカの世界遺産は、ランゲル・セントエライアスとグレイシャーベイの2個所のみ。
その理由には地元の申請が無いと世界遺産には登録されないことがあります。

世界遺産になれば遺産は本当に保護されるのだろうか...

アラスカの自然保護派の人たちは「世界遺産に登録されると観光客が大挙して押し寄せてくる。観光開発が進むと、今の自然とは違うものになる」と考えていて、世界遺産への申請をしたがらないそうです。
で、逆に開発推進派の人たちは「世界遺産になると観光以外の開発が制限される。アラスカには豊富な地下資源が眠っているのだから、観光よりも金や石油や天然ガスを採掘して儲けた方が良い」と考えているらしい。

日本の観光地では競うように世界遺産を目指していますが、アラスカでは自然保護派も開発推進派も、異なる思考の下で世界遺産になることを否定的に捉えているようです。

「世界遺産に登録されることが幸せなのか」
この場所にもその問いに対する答えが凝縮されているような気がします。

では、なぜランゲル・セイントエライアスとグレイシャーベイが世界遺産に登録されることになったかと言うと...。
安藤さん曰く「カナダ側のクルアニが世界遺産登録されてしまったので仕方なく......」だそうです。

ケニコットへ

ランチの準備ができる時間を見計らって、ランゲルマウンテンエアーのオフィスに戻り、ランチを受け取ってケニコットへのシャトルへ乗車。
すし詰めのシャトルに揺られること10分でケニコットに到着しました。

車を降りて少し歩くと眼前には一番のメジャー・アトラクションでもある銅の精錬所が現れました。

銅鉱の選別に使われた主塔。

ケニコットでは1911年から1938年まで銅の採掘と精錬が行われ、精錬された銅は専用の鉄道でコルドバの街まで搬出されていたそうです。
その当時の建物や鉄道の線路が今もそのまま残されているのですが、かなり老朽化も進んでいるようで、昨年は建物の上まで行けた主塔の中に今年は入場できず...。

修繕された手前の建物。なんか情趣が無い気がする。

観光地として整備するためか、老朽化した周囲の建物も改修工事を施している模様。
100年前の建物が廃れながらも残っているのが良いのに、100年前の姿を復元されてもねぇ。

歴史的豪雨の影響

救出完了を待っていたかのように丁度いいタイミングで迎えの車が到着。
空港からマッカーシーのダウンタウンへ向かいます。

5分ほどで到着したダウンタウンには、数件のギフトショップと食堂、博物館が並んでいますが、観光シーズンも終わりということもあり、既にすべてのお店が閉まっていました。
何でも一昨日まで大雨が降り続いたので、少し早めに営業を切り上げたのだとか。
えぇっ!?今日も昼ごはん抜きですか...?

さらには史上に残る大雨で川に架かる橋が流されてしまったらしく、鉱石探しをする予定だった川の中州には渡れず仕舞い。

対岸まで渡れる橋が架かっていたそうなのですが...。

「時間が余っちゃったなぁ、どうしよう...」と頭を抱えつつ、安藤さんは公園のオーナー(アラスカだと街がまるまる個人の私有地だったりするのです!)と直接交渉して昼食や観光の手配をしておられます。

結局、昼食はオーナー特製のランチボックスを用意して貰えることになり、ランチボックスが出来るまでの時間を潰すためにクローズされていた博物館の鍵を借りて"無料"で見学させてもらいました。

さすがアラスカのスペシャリスト。頼りになります。

トイレ閉じ込め事件

飛行場に降り立つとまずはトイレ休憩。用を済ませて迎えのシャトルバスを待っていると、何やらトイレの周囲が騒がしくなっています。
「何事!?」と近付いていってみると、トイレの鍵が壊れて開かなくなったらしい!中にはメンバーのJさんが入ったまま...。

救出作業を試みるも...

安藤さんやパイロットさんが鍵穴にドライバーを差し込んで開錠を試みますが、うまくいきません。他のメンバーも心配そうに覗き込みます。
「春になったら助けに来るよ~」とアメリカン・ジョークが出ているので、まだ何か手段があるのだとは思いますが...。

一旦、倉庫に戻ったパイロットさんが手にしていたのはトンカチとクギ!
慣れた手つきで蝶つがいを外してドアを外しています。ほどなくして救出成功!

閉じ込められていた時間は正味15分くらいだったけど、つらかっただろうに。
大変だったね。しばらくは公衆トイレを見るたび、君のことを思い出すよ。

パイロットさんたちは壊れたドアノブだけを外し、再び慣れた手つきで蝶つがいを元に戻しています。
あまりにも手馴れた様子だったので、閉じ込め事件って今回が初めてじゃないのかも......と思ってしまいました。

パニックの連続

けれども離陸してみるとエンジン音にかき消されてヘッドホンを通じたキャプテンの声が聞き取りにくいこと。パニック。。。。

キャプテンの声が聞こえません...

「右手がバルディーズの方向...」「左手に見えるのがMt.Wrangellで、その前がMt.Blackburn...」とガイドしてくれているようなのですが、聞き取るのに精一杯です。
さらには「前方にMt.LoganとSt.Eliasが見えてるよ。右の三角形の山がSt.Elias、左のギザギザなのがMt.Logan」と言われたにも関わらず、右(Right)と左(Left)を取り違えてMt.LoganをSt.Eliasと勘違いして写真を取り続ける始末。。。。
(飛行機から降りて他のみなさんに指摘されて、初めて間違いに気付きました)

マッカーシーが近付くと眼下には縞模様が美しいケニコット氷河が広がります。
突然、「カメラを貸して」というキャプテン。自分がカメラを差し出すと、操縦そっちのけで撮影を始めるキャプテン。眼前には岩肌が迫ります。

眼前に迫る山肌!

「キャプテン!山が迫ってますよ~。脇見運転やめてください~」と横を向くと、なんとキャプテンは操縦桿を握っていません!

「きゃー、写真はいいから、手放し運転は止めて~」と言いたいところでしたが、英語でどう言えばいいか判らなかったので、事の推移を見守るしかありません。
キャプテンが平然と操縦桿を握りなおして左旋回を開始するまでの間、生きた心地がしませんでした。

氷河に向かって一直線!

操縦席は心臓に悪いです。。。。

この後、Root氷河、Kennicott氷河の上空を旋回し、マッカーシーに着陸。
わずか40分ほどのフライトでしたが、いろんな意味で緊張の連続。長く感じられました。

グループ分け

本日の乗客は自分たちのグループを含めて9名。2機の飛行機に分乗ということで、パイロットさん曰く「君たちのグループは、5+2か4+3に分かれてくれ」とのこと。

9人が2機に分乗...

「軽飛行機は初めてだし、パイロットさんの指示が理解できなかったら困るから、安藤さんといっしょがいいな~」なんて気持ちを知ってか知らずか、

「えーと、4+3で君はコッチ」

と安藤さんとは別グループに。しかも「操縦席に座って。みんなをよろしくね~」って。。。ああ、心配。


自分たちの飛行機を操縦してくれるのは、キャプテン・スコット。この道、25年の大ベテランだそうです。
「自分の英語が通じないと困る...」と思い、安藤さんが居るうちに一番気になっている質問をぶつけてみることに。

「飛行中は写真とっていいの?」と聞いてみると、「もちろん。それナシだとフライトの意味ないでしょ?」。

自分の英語も通じたみたいで少し安心。

遅刻厳禁ですが...

食事を終えるとすでに出発予定時刻の午前8時(人手不足のため、食事後の精算にも時間がかかってしまいました...)。
安藤さんや他のメンバーも一緒に食事をしていたので、独りで置いてけぼりを食らう心配はありませんが、今日は飛行機の時間があるので遅刻は厳禁です。

慌てて部屋に戻り、荷物を運び出して、チェックアウト。すぐに車に乗り込んで出発。
ですが時計はすでに8時15分を回っています。チットナの飛行場を離陸するのは午前9時の予定。搭乗に10分ぐらいかかることを計算に入れると、8時45分には到着していないといけません。

ホテルからチットナの飛行場まで約50マイルということは、時速100マイルくらいのスピードで飛ばさないと間に合いません!

濃霧で目の前は真っ白。こんな中を時速100マイルで飛ばされると結構恐い。

一面の霧に覆われたハイウェイを相当なスピードで飛ばす安藤さん。......が、飛行場に到着したのは午前9時10分。

飛行機は何機か駐機されていますが、動き出す様子はありません。
「間に合わなかったか...」と思っていたら頭上から軽飛行機のエンジン音。

どうやらマッカーシーからの出迎えの飛行機も遅れていたようで、丁度良かったようです。

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